100年先の夢にむかって
「誰よりもお客様を、社員をそして地元の仲間を大切にし、地元、備前市香登(かがと)をこよなく愛する男」。鷹取宏尚をひと言で表現するとこうなります。
誰もが出会って30秒もしないうちに彼のファンになる。とにかく面倒見がよく腰が低く優しい。そしてこの人柄は社員全員に波及する。その結果、岡山県内の約八百店舗の飲食店が鷹取醤油を指名買いしています。もちろん醤油の味も格別。まろやかで味わい深い旨味を持つ鷹取醤油のファンは岡山県内外に広がっています。
鷹取醤油がある香登は、岡山市内中心部から車で四十分離れた岡山県の東部に位置しています。顧客の多い岡山市内や倉敷市内に店舗は持たず、創業以来110年以上にわたり製造から販売まで全てを地元香登でこなしています。その理由を尋ねると、「鷹取醬油のアイデンティティは醤油蔵の壁にびっしりと群生している酵母です。その酵母のおかげで美味しい醤油ができるのです。この醤油蔵がある香登は、私自身が生まれ育ち生かされ、鷹取醤油の営みを見守り続けてきた土地です。この自然と風土を私の支えとし、これからも香登からの発信を続けます」と熱いこたえが返ってきました。
配達も社員の重要な仕事です。宅配便などはほとんど使わずトラックで日々駆け回っています。言わば昔の御用聞きです。岡山市内でも配達中のトラックをよく目にし、そのトラックのボディにある「伏市」の文字が目に入ります。「伏市」とは何か尋ねてみると、香登地区では江戸時代より各家々に屋号がついおり、鷹取家についた屋号が「伏見屋」で、当時は原木商などの商いもしていたと言います。明治に入り醤油醸造業を始めた初代の名が鷹取市平で伏見屋市平と名乗りました。そしてできあがった醤油に伏見屋の「伏」と市平の「市」で「伏市」と名づけられたそうです。明治38年創業の老舗の重みが感じられます。
鷹取醬油最大のイベントは、毎年11月の第1土曜日曜に開催される「豊穣祭」です。毎年実に大勢の来場者で溢れており、鼻と舌を満足させるイベント内容もさることながら、駐車場の誘導やお客様の案内などを買って出る彼の仲間たちの熱さとチームワークにも目を見張るものがあります。志の高い男の周りには熱い男が集まると言います。そのエネルギーを毎年2月開催の日本三大奇祭に数えられる西大寺会陽(通称:はだか祭り)にもぶつけています。時には肋骨にヒビが入っていたこともあるというのに、懲りずに毎年参加しているそうです。
鷹取醤油は現在320アイテムもの商品を製造しています。お客様の要望、夢をカタチにするために開発製造した結果です。初代から受け継ぎ変えないものと、時代により変えていくもの。どちらも鷹取醤油にとっては必要な視点で守り続けるべき価値観です。
「世界中のどこの家庭にもどこのお店にもあるよね! 岡山の香登っていうところの小さなお醤油屋さんが開発したモノらしいよ!」
100年後、そう言われる商品を生むことが夢だと目を輝かせていた姿が印象的でした。
鷹取 宏尚
Hironao Takatori
1980年3月 岡山県立備前高等学校 卒業
1980年4月 岡山信用金庫(現おかやま信用金庫) 入庫
1992年3月 岡山信用金庫 退社
1992年4月 鷹取醤油株式会社 入社
2008年4月 鷹取醤油株式会社 代表取締役 就任
現在に至る
鷹取醤油
たかとりしょうゆ
0869-66-9033
9:00~18:00(月~金曜日)
10:00~18:00(土・日曜・祝日)
休日:年末年始
駐車場:有 バス停車:可
https://takatori-shoyu.co.jp/